8月20日(土)「第115回懇談会」が開催されました

開会の挨拶と参加者のご紹介

組合長から「去年くらいからコロナ禍で、公共の所は定員の半数という状況が続いて、お断りする人が結構あったので広い会場を借りたら、ここ本来は110名の会場で今は55名ですが、こういう時に限って参加が少ない事になりました。ただ、広くゆったりした会場で、今日の中身は結構濃い内容ですので、皆さんにも楽しんで頂いて、今日も何らかの情報を持って帰って頂けたらと思います」と挨拶が有り、参加者紹介が有りました。

報告事項  ★報告事項や懇談会内容でご不明な点が有れば、組合メール等でお尋ねください

① 7月30日(土)、会員のジタン・マーケティング㈱I様の物件見学会が開催されました。

阪急宝塚線石橋阪大前駅から徒歩15分の耐震改修中の戸建てを見せて頂きました。

施工の㈱ナカタM様より、施工状況や補助金申請について等の丁寧なご説明を受けました。

② 新規入会者のご紹介

〇 吹田市のT様 〇 守口市のI様

③ 本年も「賃貸住宅フェアー2022大阪」は中止の模様です。

④ 今年に入って、F会員の物件で自殺、K会員の物件で孤独死、と事故が発生、対岸の火事と思わず、改めて対応を考えて下さい。孤独死と自殺の原状回復について、見守りサービスについて、ご紹介します。

⑤ 賃貸住宅新聞社の月刊誌「家主と地主」8月号に第113回懇談会が、9月号に第114回懇談会が、また「改善したい6つのNG習慣」に組合長の記事が掲載されました。

⑥ 次回イベントのご案内 次回懇談会では、消費税のインボイス制度について取り上げる予定です。

またO会員の戸建て改修見学会を開催予定しています。

本日の懇談会内容   紙面の都合で一部割愛している事を、ご了承ください。

○ 第一部:「私の賃貸経営」:N様

まずは立地から、物件は大阪府和泉市で、和泉市は面積は84.99km2。人口が184,615人、最寄り駅がJR和泉府中駅、この駅の1日の乗降人数が11,000人で、JR阪和線の第三位の乗車数です。ちなみに第一位が天王寺駅で、第二位が堺市駅です。物件概要は、物件は2件で集合住宅と駐車場です。集合住宅は「ブルーム和泉」で、1994年築です。これは母が土地から買って建てた鉄骨造、土地面積が80坪で一階は店舗で、2階から4階がワンルームで17戸です。ただし、2階の206号室だけ2つの部屋を1つにしたお部屋です。店舗は家賃30万で、住居は40,000~43,000円で、年間の家賃総収入が1,200万円です。土地はバブル期で凄く高くて、80坪で約1億円を母が自己資金で買いました。建物は1億1千万円借入れて建てました。現状の収入を2億1千万で割ると5.8%の利回りと厳しい状態です。残債は3千万円有り、築後28年の間に2回借り換えして、今は大阪信用金庫から元金均等で0.7%で借りています。うちの物件は陸屋根で、太陽光発電で10.83kwの容量で43.2円の固定価格買取制度を利用して、2013年設置で20年契約で稼働しています。費用が650万円で利回りだいたい93%、年間の売電手数料で日照の関係もあるんですけど約60万円で収まってます。その他、自販機が2台で2014年に設置して1本につき30円の手数料で、年間14万円の売り上げです。駐車場は岸和田の自宅の敷地内を利用して2003年に設置し、12台収容で月顎9000円、インターロッキングで舗装しています。これが約120万円の年間収入です。年間家賃収入は、マンションで1200万、売電で60万、自動販売機で14万、駐車場で120万で合計1400万になります。年間経費は、借入金返済280万円、2020年度に大規模改修、雑費はEV代、貯水槽清掃など合計125万円。固定資産税など各種税金で52万円、各種保険で15万円、これが固定費で、472万円です。それ以外に変動する経費は仲介手数料、修繕費です。修繕費は、去年の段階では50万円で、かなり上下します。

年間収支としては収入が1394万円、固定費と変動費で500万円で、手残り800万円で、ここから税金が引かれます。

次に物件を持った経緯です。切っ掛けは、母が昭和16年生まれで中学の教師をしており、結婚後も子供が生まれた後も、こつこつと遊びもせずに働き、ついに1億円貯まるんです。その1億円で不動産を買いたいと考え、不動産屋を廻って

いました。時代はバブルが崩壊した時でしたが、母親は中学の教師で、全然時代の流れに疎いんです。不景気って言われてるけど大丈夫でしょって感じで不動産を探し続けたんです。ある不動産屋さんに出会いまして、賃貸物件を所有してみませんかと、そそのかされて、何の知識も無かった母は「何もせんでもお金入ってくるんやったら買っちゃお」という事で高い土地を購入してしまうんです。これは1993年の出来事でした。元々この不動産屋に管理を任すつもりだったんですが、マンションが建っていく過程で、最初は3%だった管理費が、5%になり、最後は7%ですよとなって、母はぶち切れで「聞いてた話と違うやないの!」と言う事で、この不動産屋と手を切って、既に定年退職していた父に「お父さん!管理くらい自分で出来るよ、簡単やから。自分らでやろう」と言って父に任せてしまったんです。こうして、なし崩し的に管理する事になったんですが、父は定年退職して悠々自適のはずが、した事もない仕事をさせられる破目になりました。

それから9年が経ち私の話ですが、大学院で修士論文発表を控えてました。2003年2月に、もう大学でする事も無いので神戸の下宿から実家に戻ってきました。所が研究に没頭するあまり、当時は就職氷河期で就職先が無い感じだったので、バイトしながらどこかへ潜り込めればと言う感じで、就職活動してなかったんです。実家に戻って来たから、親の手伝いするって事で母に聞いたら、お父さん忙しいから通帳記入して来てって言われて、通帳渡されたんです。銀行に行き通帳記入をしたら5、6件しか入金ないんです。あれっ?と思って、家賃って前月に支払われるから12月分、この時は1月だったんですけど12月の見れば全部入ってるだろうと思って、12月見たら5、6件しか入ってないんです。あれって思って、今度は11月見てみようとしたらそれも5、6件しか入ってないんです。これは何だろうと思い、確かマンションって十数軒有っなと記憶してたので、最初少しパニックなり、これどうなってるのかと、慌てて帰宅して母に報告します。そうすると、母はびっくりして「お父さん!何軒空室なの?」と聞くと、父は「3、4…」煮え切らない態度をするんです。「そんな訳有るかい。通帳に入ってないやないか」と言って母はぶち切れました。実態を把握するために入金表を私が再作成するんですが、当時の入金表は、父はパソコン使えないので全部手書きで書いてたんです。2002年も2001年分もきれいに3室空きっていうものだったんですが、まったく通帳と実態が違うので、この入金表は信頼できないって事で、家賃を入れてる通帳を全部エクセルで、2002年からまず1年間入金表を作り直しました。そこで判明した実態は、正常な入金が6軒で、滞納中が4軒、空室が7軒というとんでもない状態でした。空室率が4割超えている。しかも、滞納中の人たちの金額を合算すると、527万2千円。学生あがりの僕からしてみると天文学的な数字です。

改めて、何でこんな事になったのかを父に聞きますと、読書好きで人付き合いが苦手だった父が、母からいきなり頼まれた管理の仕事を、断れずに続けていたんですがトラブルが重なって、賃貸してるとトラブル重なりますが、それが対処出来なくなって相談相手もおらずに思考停止になって放置した、よくあることなんですけど、女性の方が結構勝気で、男性の方が寡黙です。そういうカップルだったので、なかなか父も言い出せなかった様です。私としてはやりきれないです。これ聞かされて、私としたら何不自由なく育ててくれて、自分の好きな学問を学ばせてもらってた間、父が独り苦しみを背負って誰にも相談できずに日々を過ごしていたかと思うと、父を責めることも出来ないですが、かと言って失った物も大きいんで。どうしようと思い、この時私に知識とか経験があればほかの道を選択出来たかもしれません。例えば管理会社探そうとか、もう売ってしまおうとか、色んな選択肢があったかもしれないですけど、当時はこの状況の中で家族離散してしまいかねないという不安から、僕は「お父さんゆっくりしといて、僕が代わりにやるわ」と言ってしまったんです。とは言うものの、よく考えてみると、管理を知らない人が失敗した後で、管理を知らない人が引き継ぐって言う、地獄のループが始まったわけです。ここから再起の道に進んでいきます。

まずは滞納者と交渉して、滞納してる分を払ってもらうのですが、滞納者Aが242万円、滞納者Bが207万円、滞納者Cが20万円、滞納者Dが65万円、滞納者Eが63万円て言う、えげつない滞納が重なっており、ABCは苦労した結果、入ったまま家賃を払いながらそれに上乗せするっていう形で、分割返済で合意する事が出来ました。一方DとEは、Dは反社であることが分かって解約して出て行ってもらい、Eは既に夜逃げで所在がわからない、なのでDとEは断念しました。結果として回収額は470万円、対応期間としては10年間かかりました。回収率は78%で、同時に空室も多いので、何とか清掃とかやって、自分で綺麗にして貸し出せる状態にしなきゃいけない。一生懸命やったんです。仲介業者にも初めての営業をかけて、一生懸命やってたんですが、一向に客付けをしてくれないんです。何でかなと思って、賃貸業界って厳しいなあって思ってたんです。そうすると、ある仲介業者さんから衝撃の宣告をされてしまうんです。「Nさん所、付けれないんですよ」って言われて「何でなんですか。付けてくださいよ」ってお願いしたら、「組事務所あるでしょ。みんな知ってるんですよ、周りは、なかなかそんなの付けれないですよ」茫然自失で!組事務所って、そんなんあったっけ?

そういや看板かかってたかな、みたいな。本当に何も知らなくて、ついにラスボスとの対決が始まります。

表面上は興信所っていうのを標榜していたんですが、冒頭でも話した206号室というワンルームを2つ繋げた部屋があって、そこ入ってた人だったんですが、そこがですね大手の指定暴力団の末端支部であるS組と名乗って、事務所の名前出てたんです。契約者は、この人は堅気の人ですが、その息子が暴力団員であるという事が分かりました。もともと堅気の仕事をしていたが、出所した息子が入り浸りするようになって、若い者を集めて乗っ取ったような状態だったみたいです。私にしてみたら、暴力団なんて映画でしか見たことないので、暴力団の情報収集しようっていうことで、ネットで賃貸住宅から追い出した事例を検索しました。

あとは暴対法とか検索してどうすればいいかと。弁護士の無料相談会とか、30分5000円の相談とか乗ってもらって、色々どういう対処がいいのか、弁護士に相談した場合の費用はどうか等調べてみました。ある程度知識を貯めてから、警察の暴対課へ相談に行きました。暴対課のM警部補が「あぁ、あんたが組事務所の大家さん?」ていうふうに聞いてきて「いやいや違います。マンションの家主であって、組事務所貸してる訳じゃないですよ」と「でも大阪府警の暴対本部にあんたの住所登録されてるで」組事務所の物件と言う事で大阪府警に認知されてしまったみたいです。「本当ですか?勘弁してくださいよ。どうやったらこれ登録とってくれるんですか?」と言ったら、「大阪府警の本部に行って、説明してこい」と言われて、暴力団追放推進センターっていうところに呼ばれます。そしたら、ずらっとお偉いさんが並んでるところで「何で貸したんや、どんなお付き合いしてんの」と根掘り葉掘り聞かれる訳です。「本当に何も知らなかったんですよ。いつの間にか事務所が出来てました」と言って説明を終えた後、警察から全面的に協力を得られる事になりました。

次に追い出し作戦を計画したんですが、最初に情報提供してくれた仲介屋さんに迷惑をかけられないので、こういう計画を立てたんです。家主が組の者とマンション内で遭遇して、家主が恐怖を感じる。それで、怖いなと思って調べたら、「あんた反社だったんですね」とすごく単純な発想なんですけども、この計画を実行するために、事務所のドア前に監視カメラが無断で付けられてて、壁に穴開けて勝手に付けられてたんですが、まずは母に箒持ってカメラに映らない所で待機してもらい、次に箒持った私がカメラの前をうろつくんです。何で箒持つかっていうと廊下を掃除してる体を保つためで、こうやってウロウロするんです。そうすると案の定、扉がバって開けられて若いもんが「誰じゃコラー!」と威嚇して来ました。「ヒーッ」言うて「怖いー!」言ってたら、後ろの母が「あら、すみません。うちの息子が廊下掃除してただけなんです。すみません、ところで見たことない顔ですけどあんたどちら様」って尋ねたら、「早よやって」って言われてドア閉められました。計画通りです。調べたって言う体を出すために1週間あけて、契約者に連絡を取って事情を説明して契約解除の意思を伝えました。すると「大家さん、わかったわ。出ていきましょう。ただし2か月待ってくれ」と、「それと最後の家賃負けてくれ」と言ってきたので、「わかりました。条件があります。看板は直ちに外してください」ということで外してもらいました。それから2か月後、ついに明け渡し日がやってきました。

母と私が2人で組事務所に向かう訳ですが、当然危険があると思うので、事前に和泉警察の警部補さんと連絡を取って、警部補と警官がマンションの裏で待機してもらってたんです。私がポケットの中に入れてる携帯電話のボタンを押せばいつでも着信が行って踏み込んでくれる様に、打ち合わせをしてきました。事務所に入り、部屋内を見分している所で、

突然、息子のヤクザ本人が乱入してきたんです。「オラァ!」と、まぁ、この人物が190cmくらいの大男で、上下白の

Tシャツで、『じゃりン子チエ』っていう伝説のアニメがあるんですけど、『じゃりン子チエ』の主人公チエちゃんのお父さん“テツ”って言うんですが、そのテツの顔にそっくりなんです。テツが来たわと思って怖いんですが、なんかちょっと可愛いいみたいに思いましたが、この人物がライオンみたいな咆哮をあげて、ものすごい剣幕で怒鳴り散らしてきたんです。「お前に親思う子の気持ちがわかるんかあ!」と言って、お前が言うな。更に「この前、和泉警察の警部補さんがうちに来てくれたんじゃあ!」これはこちらが根回しして、釘差しに行ってもらってたんですよ。警部補に来てもらうことが、箔がつくのかよく分からないですが、どういう意味で言ったのか分かりませんが、散々怒鳴り散らしましたが、出て行ってくれて、組の追い出しは成功し、今思うと運が良かったと思います。

(ここまでの話が面白過ぎて長くなり、それ以降も賃貸経営の分析や、ネットの活用など貴重な経営の話が

続きましたが、紙面の都合で割愛させて頂きました)

 

○ 第二部:「夜逃げ・孤独死・自殺・騒音・精神的な問題等について」:K役員

まず、お金を使わずに集客するのが大家にとって大事と思います。サラリーマンでしたが、会社が不景気で、これはダメだと思い、他は思いつかず大家さんになりました。その過程で色んなトラブルを経験しました。

トラブルにひるまず解消する事が、大家になる経験に繋がると思いました。トラブルは大きく言うと三つあり、

個人のトラブル・組織のトラブル・バブルやリーマンショックや戦争の様なトラブル、です。今日は、個人の

起こすトラブルについてお話します。まず「夜逃げ」で気を付ける事は残置物の処分で、慎重を期すなら自分で簡裁で明け渡し訴訟で勝訴判決を貰い処分します。「孤独死」は警察が関与してご遺体は持って行ってくれますが、腐敗している場合は原状回復に費用が掛かり困る事と、その後の募集が難しい場合が有ります。幸い

私の場合は、私でも臭いが気になると思っていましたが、早く入居者が決まって助かりました。サインとしては、滞納とか出た時点で、怪しい危ないと考え安否確認をお勧めします。そうすると、最悪の場合でも時期によりますが、腐乱は防げるかもしれません。急病で入院して、安否確認出来ず困った事もあります。「騒音」

は、具体的な音の確認は勿論ですが、精神的な問題の場合も有り、それ以外にクレームが金目当ての悪質な場合も多いので対応に注意して下さい。「精神的な問題」は、集合住宅の場合に隣室等に迷惑が掛かる。そんな場合は粛々と証拠の積み重ねで、法的な対応が必要です。普段は大人しいのに、酒が入ると人格が変わる場合もあるので、法的な対応が必要です。私や私の友人の体験をお話させて頂きました。

 

〇 第三部:「怪しい登記簿の見方について」:S役員

元々は大阪で不動産屋兼大家をしており、今は香川県高松市で営業して、その高松で詐欺被害にあったお話です。組織犯罪で、詐欺師達と司法書士・弁護士・警察も巻き込んで、それがグルになって刑事事件にならずに詐欺をしているのです。被害総額は私を含めかなりの金額となっております。不動産転売の詐欺まがいスキームを、登記簿謄本を見せながら解説されました。詳細は複雑なので省きますが、要点としては契約する前に、

登記簿謄本を取り、所有者等の本人確認と移転登記には自身が過去から知っている司法書士を使う事で、被害を未然に防げると思いますとの事でした。

 

〇 第四部:「ホームインスペクションについて」:組合長

私たち大家さんは、物件購入に先立ち物件の内覧して建物診断をして購入の判断をすると思いますが、その際にも非常に役に立つ資格としてホームインスペクターと言う資格が有り、組合長は今年6月受験して合格しました。まず、実際の建物診断をどの様にするか?を分かり易く「youtube」動画で視聴しました。

その後、質疑応答の中で指値する際にも使える点や、資格を取る取らないは別にして、物件購入には必須かと思いました。ホームインスペクターの試験について質問が有りましたが、今年から年3回の試験で、

建築・調査と診断・不動産取引・倫理の4部門50問で、合格基準点は30点、ただし分野別の足きり点

があり、因みに組合長は38点でした。またアスベストに関する質問が有り、今後の懇談会テーマとして

取り上げる予定とされました。

 

〇 茶話会

久々に一般の方も含めて、十数名が残られて活発な意見交換やご相談等がありました。

 

★今年も賃貸住宅フェア大阪は中止の様です。若干賃貸住宅とは違いますが「施設リノベーションEXPO」が、9月28日(水)~30日(金)まで、インテックス大阪にて開催されます。リノベーションや、大規模改修、給排水管補修・耐震設備など、賃貸経営者に関係する物も展示されますので、興味ある方はどうぞ。

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