組合ニュース112号「原状回復ガイドラインと敷引き判決」

最高裁 敷引き有効判決について

7月12日の最高裁判決を受けて、敷引きのあり方を見直す動きが出ている。
敷引き問題が顕在化してから、当組合でも敷金・礼金方式での契約を奨励してきましたが、保証金・敷引きの商習慣が一般化していた近畿圏でも、すでに礼金制度への移行が進んでいるようだ。
また、敷金0の礼金方式のみなら、滞納時のリスク負担には家賃保証会社と連帯保証人の併用が考えられる。
もちろん、近畿圏には現在も保証金・敷引きを続けている物件も多く存在しているが、トラブルを回避したい管理会社等を含めて、敷金・礼金方式への移行が大家さんたちの大勢になっている。
 保証金・敷引き制度から敷金・礼金方式へ、更に礼金一本化から入居者確保の為、礼金額を引き下げる動きがある。地域や物件・間取りによってバラツキがありますが、敷金は賃料の3ヶ月〜1ヶ月分で、礼金も同じく賃料の3ヶ月〜1ヶ月分が目安ですが、一方では敷金・礼金がゼロゼロの物件も増えて来ており、礼金の確保も難しい地域も出てきています。
 家賃を下げずに一時金で調整して家賃を据え置きにできるならば、その方が良いと言う考え方も出てきています。
原状回復費は、故意・過失の場合を除いて賃料と礼金の一部を充てる考えです。
(全国賃貸住宅新聞8月1日号の記事より引用)
原状回復のガイドライン再改定について
国土交通省は、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の再改定版を発表した。
 トラブルを未然に防止するため、契約締結時に貸主と借主双方が原状回復について確認・理解することを推奨する内容となった。
大きな改善点は契約書に添付するための「原状回復の条件に関する」として別表3が追加されたというところだ。
 財団法人日本住宅管理協会の原状回復など賃貸管理研究担当者は「契約時にわかりやすい説明をするためにも別表3ができたことが大きい」と評価する。
 これまではトラブルが発生した際にガイドラインを参照するケースが多かったが、別表3を契約の段階で特約に添付することで事前に借主へ理解を促すことができる。
 一方、6月末の改定案で入居6年後の残存価値の下限を従来の「10%」から「1円」としたことで入居者に対するモラルハザードを懸念する声が多く寄せられたため、本文の表記を改定した。
 「賃借人がクロスに故意に行った落書きを消すための費用(工事費や人件費)などについては、賃借人の
負担となることがある」など、具体的な事例を明記。残存価値が少なくても、使用可能な設備等を使用不可
な状態にしてしまった場合、使用可能な状態に戻すまでが借主の責任だとわかるようにした。
 「1円だから何をしてもいいという解釈の余地が残らず、管理側の不安が払拭されました」と前述の賃貸管理研究担当者は話す。
(全国賃貸住宅新聞8月22日号の記事より引用)

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